49ターン目 後半 「スタッフを苦しめる"ダブルバインド"の恐怖」
2015年09月03日(木)/
コンサル道中記
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斎藤
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確かに、仮に数字が上がったとしても、やめることをどんどん決めていかないと、
そういったリスクがいくらでもある、ということですよね。
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田村
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そういうことです。負荷が高くなってくると、やはり退職リスクが高まってくるので。
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斎藤
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プロジェクトTでは、そういった考え方の部分から教えている状況なんですか?
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田村
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そうです。しっかりと、組織としての枠を作っていく、ということを一生懸命やっています。
そして、経営者さんの考え方を変えてもらうということに注力していますね。
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斎藤
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反発はありませんか?やはり、今まで考の考え方と少し違う考え方だと。
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田村
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反発はないですけど、愕然としている人は多いですね。
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斎藤
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愕然としている(笑)。…やばい、みたいな感じでしょうか。
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田村
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「うわーっ!」ていう感じですね。
皆さんここまでくるのに色々な経験をしているんで、やっぱり心当たりあるんですよね。
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斎藤
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そうですよね。
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田村
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それで、僕自身もいっぱいそれは経験してきてるんで、いろんな先生の一つ一つの発言を
聞きながら、<こういう問題起こってないですか>ということを言えるわけですね。
そうすると、「そうです」って皆さんおっしゃいます。
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斎藤
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やっぱりって感じですね。
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田村
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そうですね。僕自身、チームビルディングやスタッフマネジメントに関して沢山失敗しました。
本当に失敗しました。だから、ありとあらゆる失敗とその状況が、すごく理解できるんですね。
なので、その人の言葉ひとつひとつも、当時の自分が同じことを言ったな、と思い返せるんですよ(笑)。
この部分に、気が付いていかなきゃいけない。
参加してもらっているメリットかなとは思うんですよね。
それで、<院の軸を作ってそれをスタッフに説明してください>、<院の方針を明文化して、
言葉にして伝えてください>ということをやったんです。
この結果、多くの参加者の方が言ってくれたことが、「言ったつもりだった」って。
スタッフに対して、前回の話じゃないですけど、伝えたつもりだけど伝わってなかった、
というのが非常に多く意見として上がってきましたね。
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斎藤
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なるほど、伝わってなかった。
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田村
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それで、実際にやってみたことによってスタッフが考えていることが伝わってくるようになったし、
こっちの考え方が分かると、向こうもものを言ってくれるように、意見を言ってくれるようになりました、
という話はすごく聞きました。だから、よく治療院で、スタッフが何考えているのか分からないとか、
自主的に行動してくれないんですとかっていう話があったんですけど…
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斎藤
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あるあるですね。
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田村
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それは、こっち側が行動方針とか行動指針っていうものを示してないから動くに動けないんですね。
ここが一番大きい部分じゃないかなと思います。まずは動けるようにしてあげるために、
自分の考え方をちゃんと伝える。伝えている「つもり」では駄目ということですね。
前回お話したみたいに、伝わっているかどうかをちゃんと確認する、ということはやってかなくては
いけないかなと思いますね。それで、今回の足し算引き算、という話でいうと、
多くの経営者さんはすごく多くを求めすぎています。
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斎藤
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そうですね。
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田村
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あれもこれもって求めているんで。
この前、ある治療院さんに伺ったときにあった現象として、スタッフさんに指示を与えていたんですが、
そのスタッフさんが作業をやっている途中に、次の指示を出してしまう。
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斎藤
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完結してないのに。
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田村
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そうなんです。それによってスタッフさんは、やっている作業を放り出して次の作業に入ってしまう。
それに対して経営者さんは、「おい、こっちまだ終わってないじゃん」という様なことを
言ってしまうんですね。いや、あんたが言ったんでしょっていう話なんですけど。
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斎藤
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そもそも(笑)。
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田村
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そこに気が付いていない。経営者さんはそれが終わったらこの作業をやってね、と、
無駄が出ないように言ったつもりなんだろうけど、言葉としてはそれを言っていない。
作業をやっている途中で「こっちもやっといて」って言っちゃってるので、スタッフさんからすると
そっちもやんなきゃいけないということで、優先順位が変わったわけですよね。
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田村
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それで作業を始めたら怒られてしまう。と、なんなんだよっていうことですよね。
指示に従わなかったら怒られるし、指示に従っても怒られる。これをダブルバインドっていうんですけど、
どっちにしても怒られるっていう状態になっちゃうと、スタッフは心を開けなくなってしまう。
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斎藤
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最悪な状況ですね。
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田村
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足し算の連続をしていったせいで、結果的にスタッフさんががんじがらめになっている状態
っていうのは結構起こり得るので。そこをちょっと進歩して、1個1個ちゃんと片付けていくっていう
ことと、増やした分は減らしてあげるっていうことをやんなきゃいけない。
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斎藤
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そうなんですよね。足し算引き算で減らしてあげる、なるほど。
あと前回の伝えた、伝わったっていうのもぜひ参考にしていただきたいですね。
プロジェクトTでこういう話をしていくと、本質がやっぱり大事になってきますよね。
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田村
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そうですね。結構今マニュアルだとか評価制度だとかっていうことがすごく言われているんですけど、
正直に言えばマニュアルとか評価制度っていうのは二の次の話。
一番はやっぱり考え方であるとか、スタッフさんとのコミュニケーションの取り方であるとか、
そのスタッフさんの状況を理解してマネジメントするっていうことがちゃんとできてないといけない。
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斎藤
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確かに、確かに。
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田村
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そのうえで、そのスタッフマネジメントとかチームビルディングっていうものを効率的に
やっていくために、評価制度やマニュアルとかっていうものは存在するわけで、それですべてが
解決するっていう話ではないということですね。
だから結構、マニュアルだけ作ってスタッフにぽーんと渡して「読んでおいて」ってやってしまう
先生も居るんですけど、それでは絶対にうまくいかないですよ。
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斎藤
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違うってことですよね。
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田村
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それ以前の問題としてコミュニケーションをしっかり取って、自分の考え方の軸、院や会社としての
方針っていうものをちゃんと伝えておく。それができてない状態でいくら手法に走ってもうまくいかない。
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斎藤
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いかないですね。
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田村
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これは対患者さんも一緒で、手法はいっぱいあります。ただ、患者さんに方針がちゃんと伝わってないと、
どんな手法を取ってもうまくいかないですね。だからそこの考え方、自分のところのサービスの軸、
施術の軸、考え方の軸っていうものをしっかり持っていただく。
それを持ったうえでちゃんと伝えられるようになることは非常に大事なことですね。
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斎藤
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なるほど。
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田村
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はい。ここが抜けている人が今非常に多いです。
ノウハウがあまりにも先行しすぎているので、根本的、本質的なところっていうのが
抜けてしまっている人が非常に多いなというのが、今いろんな先生たちと直接対面して
お話していく中で感じることです。ある程度のところまではノウハウ、手法で結果が出ます。
けれど突き抜けよう、安定させようと思ったときには、やっぱり考え方とか本質的なところが
非常に大事な部分になってくるので、もう1回見つめ直していただきたいですね。
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斎藤
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なるほど。今回もすごく深い内容でしたね。
それでは本日も「たむ鉄」をお届けしてまいりました。田村車掌、本日もありがとうございました。
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田村
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ありがとうございました。